2台のピアノのための協奏曲 ニ短調 FP.61(仏: Concert en ré mineur pour 2 pianos et orchestre )は、フランシス・プーランクが作曲したピアノ協奏曲である。プーランクが様々な鍵盤楽器のために作曲した5曲の協奏曲のうち3作目にあたる。

概要

この曲は、エドモン・ド・ポリニャック公妃の委嘱によって1932年に作曲された。プーランクの評伝を書いたアンリ・エルによると、「ストラヴィンスキーのエコーの幾つかが、冒頭のアレグロ楽章の力強いリズムに聴かれるだろう。同時に1931年の植民地博覧会で、作曲者が聴いたバリ島の音楽のエコーである。ラルゲットは、モーツァルトのアンダンテのスタイルに基づいているが、中間部は速いワルツのテンポによっていて、終楽章では作曲者自身の心から決して遠くない、熟考された精神的な主題の一つが戯れている。このいくらか技巧的な二重協奏曲は、愉快な気晴らし以上のことを狙っていない作品である」と述べていた。

この協奏曲はプーランクの多くの曲と同様、美しく魅力的な旋律に溢れていて、洒落た和声の取り扱いや調の自由さと、ニュアンスの豊かさにも決して不足せず、愉悦に満ちたエスプリが聴き手の心を捉えて離さなくしている。

1932年9月5日にヴェネツィア国際音楽祭において、作曲者自身とジャック・フェヴリエのピアノ、デジレ・デフォー指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団によって初演された。

楽器編成

  • 独奏ピアノ2(蓋は除去する)
  • フルート2(1はピッコロ持ち替え)
  • オーボエ2(1はコーラングレ持ち替え)
  • クラリネット2
  • ファゴット2
  • ホルン2
  • トランペット2
  • トロンボーン2
  • テューバ1
  • 打楽器(スネアドラム、響き線のない小太鼓(大小2種)、バスドラム、カスタネット、タンブリン、トライアングル)
  • 第1ヴァイオリン8
  • 第2ヴァイオリン8
  • ヴィオラ4
  • チェロ4
  • コントラバス4

(弦楽器は数が指定されており、数を変更してはいけない。)

スコアには楽器配置が指定されており、中央の左に第1ピアノ、右に第2ピアノが向かい合う。その左側に第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリンが平行して並び、右側前列がヴィオラとチェロ、後列がコントラバス、中央ピアノの後ろに管楽器が並び、その後ろに打楽器が並ぶことになっている。

楽曲の構成

全3楽章構成で、全体の演奏時間は約18分である。

第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ

ソナタ形式。かなり長い導入部を持っているが、リズムのきびきびした第1主題、リズミックな第2主題が提示され、トッカータ風の展開部を経て、2台のピアノが全く新しい旋律を出し、再現部に入って行く。

第2楽章 ラルゲット

変ロ長調。典型的な緩徐楽章で、個性的な旋律とファンタジー豊かな和声に溢れた音楽である。

第3楽章 フィナーレ、アレグロ・モルト

冒頭の鋭いニ短調の不協和音で始まるが、ニ長調に戻ってピアノがトッカータ風に飛び跳ねて、変ロ短調の第1主題がピアノで示される。また、1927年に10人で合作した子供のためのバレエ音楽「ジャンヌの扇」の中で、プーランクが書いた「田園詩曲」の終末の旋律が顔を出す。

脚注

外部リンク

  • 2台のピアノのための協奏曲FP.61の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト

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~1台4手ピアノ連弾による~Piano Duo Festival|枚方市総合文化芸術センター

2台のピアノのための協奏曲、3台のピアノのための協奏曲(2台ピアノ版)、他 マレイ・ペライア、ラドゥ・ルプー、イギリス室内管弦楽団